FACEBOOKの仮想通貨に対する中国政府の悩み

中国政府は情報規制の為にFACEBOOK他、西側のソーシャルネットワークを国民に使わせません。そのポリシーを見直さなくてはいけない影響を与えるのがソーシャルネットワークの仮想通貨の発行かもしれません。

https://www.thestar.com.my/tech/tech-news/2019/06/24/facebooks-libra-global-cryptocurrency--how-will-china-react/

記事によりますと、中国は自国の金融政策に悪影響をあたえかねないビットコイン等の仮想通貨に否定的な政策を行ってきました。代替案として自国のデジタル通貨の発行で乗り切ろうとしていました。しかしながら、FACEBOOKの仮想通貨発行は今までとは違うインパクトがあることを理解しているようです。世界で20億人のユーザーがいるソーシャルネットワークの提供する仮想通貨は基軸通貨の為替リスクを取り除くぐらい、金融政策に影響を与える可能性があるからです。

SWIFTシステム、自国の為替介入とは無縁のFACEBOOKの仮想通貨はドルや円のような価値のある通貨との競争は望んでいるわけでもなく、ただ単に流通量を伸ばしたいだけです。

中国としても、例えFACEBOOKの仮想通貨がドルの代わりになるわけでもなく、ドルを発行する国に存在する仮想通貨だとしても無視ができない存在であるからです。なぜなら、金融政策を失敗した失敗国家の通貨のかわりにFACEBOOKの仮想通貨が流通し、失敗国家の貨幣経済をコントロールしていくことは避けることができない動きであるからだそうです。

そしてそのかわりとなる大手ソーシャルメディアで今後仮想通貨の発行が想定できるインスタやWhatsApp等も中国では禁止で中国人がアクセスできません。

中国政府が発行できない理由はほかにもあります。中国の中央銀行が仮想通貨を発行してFACEBOOK他のソーシャルメディアに対抗すると、仮想通貨を購買した中国人民が中央銀行に口座をもつことになります。つまり、中央銀行が取引できるのが民間の銀行だけでなくなり、既存の銀行をとばして中央銀行が人民と直接取引が始まってしまい、現在の金融システムを不安定にするのも受け入れがたい事態でもあります。

現在、西側の中央銀行は仮想通貨の発行は考えてもいませんし、その必要はありませんが、ソーシャルネットワークに規制をかけている中国はどうするのかわからないのが悩みであるようです。

中国はこれからソーシャルネットワークを受け入れて、情報のコントロールをあきらめるのか、それとも自国の金融システムを不安定にしてでも、情報規制を続けるのか。共産党の歩む方向はどちらにしろ茨の道ですね。