中国人たちの仮想通貨への動き

Invault`sという上海の会社が香港で仮想通貨の管理サービスのライセンスを獲得したことから、中国人、中国の仮想通貨の動きを述べています。香港の有力紙、サウスチャイナモーニングポストの記事です。

www.scmp.com

Invault`sという会社は上海をベースにした仮想通貨を顧客から預かって、仮想通貨を管理する会社です。今回仮想通貨の管理するライセンスを獲得し、信託業務をおこなう権利を香港で得ました。現在、中国本土であづかっている仮想通貨ですが、Invault`sだけで100万イーサリアムを預かっているそうです。

記事によりますと、昨年からだけでも、韓国で数件、日本、インド、イタリア等で大型のハッキングがあり、たくさんの仮想通貨が盗まれました。Invault`sはコールドウォーレット等を提供して非常に複雑なプライベートキーを顧客に与えて、(そのコードは自分自身の口座でも覚えておくのが不可能なほどの複雑なコードだそうです。)口座を守るサービスを行っています。

香港でも、SFC(証券先物事務観察委員会)が、デジタル上の財産と取引を行う会社にInvault`sのような、コールドウォーレット(デジタル上の財産の安全な保管場所)と提携するように規制がかけられたそうです。

また、仮想通貨の取引所もデジタル通貨の管理を頼む会社に、このような安全に保管をしてくれるシステムの確認をするようにしてもらい、万が一通貨を失っても、95%以上が保険で帰ってくるように規制をSFCがかけたいそうです。

現在中国の投資家の多くは、簡単にハッキングできないウォーレットサービスを活用している人が非常に多いそうです。先ほど述べたようにInvault`sだけでも100万イーサリアムを扱い、このようなサービスを香港、シンガポールで受ける顧客が非常に増えているそうです。

ここからは私の意見ですが、中国本土の裕福層は、自国通貨のYUAN(人民元)以外のポトフォリオとして仮想通貨は欠かすことのできない資産であることを暗に証明している動きではないかと思われます。中国共産党の金融政策で、中国本土の人は年間5万米ドルまでしか海外に持ち出せず、自国の操作された株式市場も本当の価値がないなかで、乱高下が激しいながらもいくらでも買うことができる仮想通貨への投資は、例え国内で消耗品が買えなくても魅力的な財産保持方法なのでしょう。

乱高下の他のもう一つの問題がハッキングや詐欺ですが、安全なコールドウォーレットがあれば少々費用を払っても利用するでしょうし、そのことを理解している香港やシンガポールの政府はそれに沿った規制をうちだし、中国本土にある富の流入をはかっていくのでしょう。

次の段階では、中国人が安全に蓄積している仮想通貨の資産をいかに使える場所が提供できるかによって動きは変わってくるでしょう。シンガポール、香港のみならず、東京でも仮想通貨をもっている中国人が簡単に現地の金に交換できるか、もしくは仮想通貨で買い物ができるようになるかによって仮想通貨の価格の上昇が昨年の1ビットコイン200万円をこえることはさほど難しくないのではないでしょうか。

また、中国人や発展途上国で海外に自国通貨の持ち出し制限がある裕福層への消費場所を提供することによって、日本、香港、シンガポールも内助の拡大が図れることが自国経済の成長にとっても国策として必要となっていくのではないでしょうか。